環境基本法
第4条
環境の保全は、社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減すること、その他の環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に、自主的かつ積極的に行われるようになることによって、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら、持続的に発展することができる社会が構築されることを旨とする。
環境基準と排出基準
「環境を汚染してもいいんだ」「人に迷惑をかけても構わない」などと考えている企業はないと思います。しかしルールがないと基準は各企業によって様々になってしまいます。そこで環境保全の指針として、環境基準が定められています。
『環境基準』 大気・水質・土壌・騒音について「人の健康を保護する為」及び「生活環境を保護する為」に、維持される事が望ましいとされている基準。
『排出基準』 環境基準の達成及び維持を担保するものとして、排水や排出ガスに対して「大気汚染防止法」「水質汚濁防止法」「ダイオキシン類対策特別措置法」などに定められている基準。
「キレイな机」を環境基準と排出基準に例えると・・・
机の整理整頓が終わった直後の状態が「環境基準」が達成されている状態です。しかし、一生懸命仕事しているうちに、散らかってしまいます。そこで「使い終わった資料はすぐ所定の場所に戻す!」と決めるとします。これが言わば「排出基準」です。「排出基準」を守る事が結果的に「環境基準」を守る事になります。
典型7公害の防止
企業活動する上で、特に気をつけるべきものに下記の7つの公害があります。健全な生活を脅かすもの・人を不快にするものです。
『大気汚染』 人間は1日で約10m3の空気を体に取り込みます。大気汚染は言うまでもなく、健康被害に直結する問題です。「SPM」や「SO2」など呼吸器官に悪影響を与える物質、「PM2.5」や「Ox」「窒素酸化物」など呼吸器官より有害物質が体に取り込まれるもの、酸性雨の原因になるものなど環境基準が指定されています。
『水質汚濁』 カドミウム・六価クロム・ジクロロメタン・四塩化炭素・シマジン・ベンゼン・PCBなど人体に有害な金属、有害農薬、有害有機物が環境基準で規定されています。また「地下水の水質汚濁に係る環境基準」が設定されています。水質汚染されたその時、直接人体に影響が無かった場合や低濃度の排出であっても、食物連鎖によって河川や海で生物濃縮され、やがて食物連鎖の頂点である人間に戻ってきます。
『土壌汚染』 土壌汚染対策法が定められています。土壌汚染の把握の為、調査対象となる土地が定められています。1使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場または事業場であった土地。2土壌汚染のおそれがある3,000m3以上の土地の形質の変更が行われる場合。3土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地。実際に汚染が判明した場合、都道府県知事または政令指定の市長の支持などに従い、必要な措置を取らなければいけません。
『騒音』 療養施設等が集合している地域(AA)、専ら住居の用(A)または主として住居の用(B)、相当数の住居と併せて商業・工業等の用に供される地域(C)に分類され、環境基準が定められています。類型指定は、各都道府県が行う。
『振動』 騒音と同様、用途地域に準拠した規制方式です。類型指定された環境基準を遵守しなければならない。
『地盤沈下』 地盤沈下は、主に地下水の過剰な汲み上げ等により発生します。地下水を利用している企業は、自治体の地下水採取規制に従い、地盤沈下に注意する必要があります。
『悪臭』 環境基準は定められていないが、悪臭防止法に定められている規制基準があります。特定悪臭物質濃度、臭気指数など基準を超えないよう留意が必要である。